公開日 2015年02月17日
薩摩新橋 (本調子) 〈伝承地:東江上〉
〔系統:会所踊い系<ヤマト。 踊の構成等:2人。二才踊い衣装。小道具: 〕 ※現在、踊られていない。
一 薩摩新橋 唐金擬宝珠
水に浮かいてナ さくら島
サマーサンサユー
二 鳥やうたてん今夜は夜半
心静かゐてないておじやる
サマーサンサユー
鹿児島県内の福島さん宅にある「新橋」と書かれた擬宝珠
大意
一 薩摩新橋の唐金擬宝珠が、水面に写っている。その様子は桜島と調和して美しい
二 鳥は鳴いたが、まだ夜半だ。心静めて居てくれ、まだかたろうやとの意。(村史)
語意
(1)さちま=薩摩の沖縄訛り。 薩摩新橋=鶴丸城と琉球館の間の濠に架けられた橋。唐金=(中国から製法が伝わったからいう)青銅(『広辞苑』)。 擬宝珠= 欄干の柱頭につけるネギの花の形をしたかざり。唐金擬宝珠=青銅の欄干の柱頭につけるネギの花の形をしたかざり(同)。 水にうかとる=水に浮かんでいる。 潮に写して=潮(海の水)に写っている。
(2)うたてん=うたっても。 今、夜は夜半=いまは夜の夜中。 心静かゐてな=心静かにして。いてお(う)じやる=居てくれ。
解説
一番の「薩摩新橋」の歌詞は、「様は」の二番、それに「うりしみでたや」の二番でも歌われ踊られている。いずれも大和系の歌である。一番だけでは短すぎるので薩摩新橋を付け加えたのだろう。
鶴丸城下にある琉球館(前身は1613年の琉球仮屋。1784年以後琉球館と称している。その所在地は元長田小学校敷地にあり)の近くを流れている濠にかけられた新橋である。
疱瘡歌に、♪さつま新橋からかね結ふし水にうかとるさくらしま との歌も残っているので薩摩新橋は実在していた。
見直し
「からかに」は→「唐金」で、「いぶし」は「擬宝珠」の誤りであることが、鹿児島県姶良町での現地調査で確認できた。「ぎーい」の「ぎ」が脱落して「いぼし」になったのではないかと考えられる。
類歌
- さつま新橋からかね結ふし/水にうかとるさくらしま
(薩摩新橋からかね結ふし/水に浮かんでいる桜島) 〔行間朱書〕 〔疱瘡歌・和歌/口節・古名歌集文 『南島歌謡大成・沖縄篇下』所収〕 - 薩摩新橋 唐金擬宝珠 唐金擬宝珠 /潮に写して(ハイヤ) 潮に写して 様よ 桜島 〔下名疱瘡踊り すてな節(天下泰平)「町制施行四十周年記念豊年祭要項」姶良町〕〕