公開日 2015年02月17日
汀間節 (三下調子) 〈伝承地:東江前〉
〔系統:琉球舞踊系<雑踊り。踊の構成等:4人(男女各2人)。 女性は琉球絣を着け、紫色の手さじを締め、白い足袋を履く。男性は、浴衣に平帯をし、頭には豆しぼりをして、素足で踊る。〕
一 汀間と安部境の河の下の浜降りて汀間の
丸目加那と請人神谷と恋の話
フンヌイフンヌイ サユイサーユーイ
ユティクーカンクーウディマークーラ
二 神谷が云言葉や何んで言うたが明けて
四、五、六月サ呼ばしが来んどつとめて待っちょれ
(以下 囃子は一番と同じ)
三 汀間の前から舟走らちゃんとちねたしか
極めとてサ与那原ヤリクヌ舟だらど
汀間節 (三下調子)
一 行けば伊計はなり戻て浜平安座
ハルヨ フニヨ ユーハユサ
ニャンチヤユーハユサー ササユハユサー
二 ながめてもあかん屋慶名屋慶名番所
(以下 囃子は一番と同じ)
三 遊で浮上ゆる津堅津堅久高
大意
一 汀間と安部の境の河のしたの浜をおりて、丸目加那と請人神谷との恋の話しだ。
二 神谷が言うには何と言ったかというと、年が明けて四五六月ころ、呼びにやるから勤めて待っていなさい、と言ったそうな。
三 汀間の前から舟を走らすのを見たときには、きっと与那原からの舟に違いないだろうよ。
汀間節 (三下調子)
一 行けば、伊計離れを戻って浜平安座
二 眺めても飽きない屋慶名番所
三 遊んで華やかな津堅、久高
語意
汀間・安部境・河の下=名護市久志の地名。 丸目加那=女性の名。 神谷=請負人の神谷、男性の名。
伊計・浜・平安座・屋慶名・津堅・久高=地名。 浮上る=浮き上がる。鮮明になる。華々しくなる。
解説
汀間と阿部の境の浜辺で、目のぱっちりした汀間の娘加那嬢と請負人である神谷とおの恋の話である。
神谷が言うには、来年の四,五,六月頃には嫁に迎えにくるからそれまではちゃんと待っていなさい。汀間の前から舟が見えたときは、与那原からの舟に違いないと思いなさい。
「伊計よ」は、類歌の「行けば」の聞き違いであると思慮する 伊計離れに行き、戻って浜、平安座、眺めても飽きない屋慶名の番所、遊んで楽しい津堅、久高である。
見直し
伊計よ→行けば
※琉球歌謡関係文献を調べてみると、全般的に「行きば」で歌われており、しかも、本歌は村外より流入したものであるため、「行きば」に見直しする。
類歌
汀間当
- 汀間と安部境のかぬしちゃの浜下れて/汀間の丸目加那と請人神谷と恋の話
サー ふんぬかなひゃ 真実かや
- 神谷がい言葉や何で言たが明けて/四五六月よはすが来んどうつとめて待っちょうれ
サ でかちゃんやひゃ 丸目加那
〔野村流合同研究会・『舞踊節組歌詞集』29頁〕
- 行けば伊計離戻て浜平安座遊び浮き上がゆる津堅久高
〔大成493・琉全1188伊計離節〕