公開日 2015年02月17日
宮古節 (三下調子) 〈伝承地:東江前〉
〔系統:会所踊い系<宮古。 踊の構成等:4人。 二才踊い衣装。一人ずつ出てきて四角形を作り、二人ずつ向き合って踊る。途中場所変えや四角形を一巡したりする。最後は4人肩を組んで退場。〕
一 わった宮古の島やよ
お楽くなくに自由なくにややびすぃが
首里加那志奉公しじさあてど
イヤーリガサッサイ (踊り手囃子)
二 宮古渡やあん長さのゆむ長さの
わが舟早まらん
わしたの男のかつみてから手さじのなぎよ
(以下 囃子は一番と同じ)
三 宮古渡から舟出ぢやち三日けえしょう
渡地前の浜安々はいくまち
渡地女郎小た粟穀とらんで
しちゃうっさらど
大意
一 私たちの宮古島は、気楽な島、自由な島のように見えるが、
首里加那志の奉公で大変忙しくしているよ。
二 宮古渡の航海はあんまり長いものだから、船足も早くならない。
だが俺達男の手にかかったら手巾の長さだよ。
三 宮古渡から舟を出して三日の返す潮で、渡地前の浜に難なく接岸できた。
渡地の遊女たちが粟穀をとろうと、内心喜んでいることだろう。
語意
お楽なくに=気楽な国。 ややびすが=であるが。 首里加那志=首里の王様。 にやでい=奉公。公務。しじさ=いそがしい。多忙。 ゆむながさ=こんなに長い。 はやまらん=早くない。 けぇしょう=返す潮、満潮。 粟穀=粟などの穀類。金目のもの。 しちゃうっさど=下ごころでは喜んでいるだろう。
解説
私たち宮古の島は、気楽でのんびりしているように見えるけど、首里王府に奉公するため忙しい思いをしている。沖縄本島に行くにはあまり遠くて船足も早まらない。でも男の手にかかると長い船路も手巾の長さに感じられる。おまけに3日返す潮にあうと那覇の前の浜に難なく入港できた。そしたら渡地の遊女たちは粟穀がもらえるものと内心喜んでいる。どうやら船が早まったのは、男の方にも下ごころがあったようである。
見直し
*「にやでい」を「奉公」に改める。 *「粟殻」を「粟穀」に訂正。
類歌
- 宮古から船出ぢやち渡地の前の浜にすぐはりこまち
〔大成4143・琉全1327たをがね節〕