渡海ひざみ(とぅけひざみ)

公開日 2015年02月18日

渡海ひざみ   (本調子) 〈伝承地:全区〉

〔系統:会所踊い系<沖縄本島。 踊の構成等:2人。二才踊い衣装。小道具:扇を持って踊る。〕

一 渡海ひざみ無蔵やヨ 今宵や眺みゆら

 見れば思まさるヨ 十五夜照りお月

 踊り手囃子 サーティム サーティム 美ら月ヤーイ

 地謡 ハーリーヨーヌ ユーイヤナー

二 庭の久葉の葉のヨ うちょいちょいすれば

 肝のいなむのやヨー 我無蔵とむとむて

 踊り手囃子 サーティム サーティム 面白ヤーイ

 地謡 ハーリーヨーヌ ユーイヤナー

渡海ひざみ

大意

一 海を隔てた彼女も今宵の月を眺めているであろうか。十五夜の月を見ていると一層思いがまさる。今宵の月は一段と美しい。

二 クバの葉がゆれ動くと、妙なもので彼女が来たかと思ったりしたものだ。不思議なこともあって面白いものだと思ったものよ。

語意

渡海ひざみ=海をへだてて。 思まさる=思いまさる。 うちょいちょいすれば=揺れ動けば。

肝のいなむのや=心の中の妙なもの。 我無蔵=わたしの彼女。 とむて=とおもって。

※かつては「肝の苛(いら)むの」と歌われていたが「肝のいなもの」に見直されているが、検討課題とされた。

解説

海を隔てて暮らしている恋人への思いを、十五夜の月を眺めながら思慕の念をつのらせている様子を歌っている。また、庭の久葉の葉が風に揺られる音にも恋人の面影が立ち、落ち着かない様子を歌っている。

類歌

  • 渡海へぢやめ無蔵もけふや眺めゆら見れば思ひまさる十五夜お月〔大成2930・琉全1193伊計離節〕
  • 渡海やへざめても 照る月やひとつ/あれも眺めゆら 今日の空や〔琉歌新釈204〕

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